機能性表示食品について知ろう

スーパーやコンビニエンスストアなどで見かけることが多くなった健康食品。2001年に保健機能食品制度がスタートしてから、ますます注目されるようになりました。保健機能食品制度には機能性表示食品を含めて大きく3種類ありますが、ここではそれぞれの違いについて取り上げてみます。

それぞれの違いやメリットなどをしっかり理解して、賢く活用してみましょう。

健康食品の定義は曖昧だった

これまで健康番組などが火付け役となって、数多くの健康食品が取り上げられてきました。中にはブームとなって一時期売れすぎて、薬局やドラッグストアなどの店頭から姿を消す商品もありました。健康食品は洋服などと同様に、1つのブームとして取り上げられる傾向があります。

それが去ると、また次の商品のブームが作られる構図があって、非常に曖昧で不安定なものでもあるのです。そもそも健康食品という言葉については、特に定義があるわけではありません。栄養補助食品や栄養機能食品、特定保健用食品さらには一般の食品などが広く健康食品として扱われることがあり、その範囲は非常に曖昧なものでした。

つまり体の健康を保つのに良いとされるもの全般を指して健康食品と呼んでいました。そのため、海外では医薬品として扱われているものから、不当な医薬品を含むものまで様々なものが流通しているのです。

保健機能食品制度がスタート

このような背景もあって国は2001年に、健康食品に対しても正しい使用を促す目的で保健機能食品制度を開始しました。この制度はそれまで健康食品として扱われてきたビタミンやミネラルやハーブなどについて、国が定めた安全性や有効性に関する基準を満たした商品は、その機能表示しても良いというものです。

ちなみにこの制度が開始された当初、健康の維持や増進に役立つ表示が認められていたのは、特定保健用食品と栄養機能食品の2種類だけでした。

特定保健用食品とは

特定保健用食品はトクホとも呼ばれていて、商品そのものが個別に審査され許可された商品です。お腹の調子を整えるのに役立つ・血中のコレステロール値などを正常に保つなどといった機能を謳うことができます。また、商品のパッケージ表示も細かく定められています。

特定保健用食品は生体の機能に影響を与える成分が含まれているため、同じ機能を謳った商品を重複して摂取しないように注意しなければなりません。例えば、お腹の調子を整えるのに役立つ食品であれば、便通改善機能を有する成分が含まれています。

これを過剰摂取すると、下痢を引き起こす恐れがあります。これは1つの商品を過剰摂取するだけではなく、類似する成分を含む食品を重複摂取しても同様のことが起きる可能性があるため注意が必要です。

栄養機能食品とは

栄養機能食品とは、不足しがちな栄養素の補給や補完を目的とした食品です。ビタミンやミネラルなど1日に必要な栄養成分を補給できるようになっています。栄養機能食品も特定保健用食品と同様、商品のパッケージ表示も細かく定められています。

栄養機能食品は含有すべき量が規格として設定されているため、この規格を満たしていれば食品のパッケージに栄養機能表示ができるのです。栄養機能食品は不足した栄養素を補う目的で作られているので、何が不足しているかを把握したうえで、それを補給することが重要です。

特定のミネラルの過剰な摂取は、他のミネラルの不足を招くことがあります。例えば、亜鉛の過剰摂取は銅の不足を招く可能性があり、カルシウムはマグネシウムとの関係が重要とされています。大切なのはバランス良く摂取することなのです。

機能性表示食品制度を導入

このように保健機能食品制度がスタートし、特定保健用食品と栄養機能食品だけが流通していました。しかし、それだけでは消費者が選べる商品が限られるという声がありました。特定保健用食品は国の個別な許可が必要であるため商品の種類が少なく、栄養機能食品は特定の栄養を補給や補完するための商品です。

これだけでは自分に合った食品の選択肢が限られてしまうため、健康状態やニーズに合った商品をもっと探しやすくする必要がありました。このような背景もあって、2015年に新たに機能性表示食品制度が導入されたのです。

機能性表示食品とは、企業や団体などの事業者の責任で、科学的な根拠に基づいた機能性を表示した商品のことです。機能性という言葉が少し分かりづらいかもしれませんが、これを人の体に与える効果に置き換えると良いかもしれません。

つまり科学的な根拠に基づいたもので、人の体に良い効果を与える食品が機能性表示食品ということです。

機能性表示食品の種類が増えています

ところで、特定保健用食品も機能性の表示ができる保健機能食品なので、機能性表示食品の仲間ともいえます。両者の違いはどこにあるかといえば、国の審査が必要かどうかという点です。特定保健用食品に表示されている健康への効果は消費者庁の審査を経て表示されていますが、機能性表示食品の場合、消費者庁への届出は必要ですが審査を必要としません。

消費者庁に提出する届け出の内容は定められていますが、提出する書類に不備がなく、事業者が届け出番号を受領すれば機能性表示食品として市場に出すことができるのです。そのため、販売までの時間と費用を大幅に削減できるため、特定保健用食品よりも安く製造することができます。

特に中小企業にとって特定保健用食品はハードルが高い商品でしたが、機能性表示食品の制度ができたことでそのハードルが下がりました。今まで特定保健用食品の申請を諦めていた企業が機能表示ができるようになったため、流通する商品の数が増えてきています。

消費者側も幅広い商品から自分に適したものを選ぶことができるようになりました。

『内臓脂肪を減らしたい人が機能性表示食品を摂取するときのコツ』

自分に合った商品を探すには

では数ある機能性表示食品の中から、自分に合ったものを選ぶにはどうしたら良いかが気になるところです。これに関しては消費者庁が運営するホームページを活用すれば良いでしょう。ホームページ上で自分が求める効果を有する機能性表示食品を検索することができます。

血圧やコレステロールなどのキーワードを入力して検索すると、その効果がある成分が含まれた食品がリストになって表示されます。また、商品名検索メニューもあり、食べたい食品を入力することで、その名が商品名に含まれる機能性食品が検索できます。

バランスの取れた食生活を基本にしながら機能性表示食品を取り入れよう

将来的には機能性表示食品がますます身近なものになっていくことが予想されます。消費者としては食品表示に関する正しい知識を身につけて、賢く食品を選んでいきたいものです。機能性表示食品は人の体に良い効果を与える食品ですが、病気の治療や予防を目的とはしていません。

たくさん摂取すれば良いというものではなく、バランスの取れた食生活を基本にしながら機能性表示食品を取り入れることが大切なのです。

『機能性表示食品による予防効果は信用できるのか』